重要なのはスケールの調理法
教材を制作するにあたってアンケートを採ったところ、やはり「スケールを弾いてるんだけトンチンカンなアドリブになる」「いつも手グセをテキトーに弾いてしまう」という意見がとても多いことが分かりました。
ここで重要なのがスケールの使い方です。やはりどんなフレーズを弾くのかは「どのスケールを覚えるか」ではなく「スケールをどう使うのか」が決め手なんですね。
そのスケールは言い換えると“素材”です。いくら良い素材があってもそのレシピを知らないと美味しい料理になりませんよね。それと同じで、スケールを覚えてもレシピを知らないと曲に合ったアドリブにはならないんです。
レシピにも焼いたり、蒸したり、揚げたり、とあるようにアドリブにもいろんなレシピがあります。今回は「メロディアスに弾くレシピ」です。コード進行に合わせて弾きながらどんどんメロディアスにしていきフレーズを歌わせる、そんな調理方法を解説しています。
「スケールを弾いてるんだけどどうもトンチンカンなアドリブになってしまう」という方はぜひこのレシピを実践してみて下さい!
1645コードとは?
1645コードとは「スタンドバイミー」に代表されるコード進行で、あまりにも有名で世界中の楽曲で使用されている事から「黄金の循環コード」とも呼ばれています。
1645という数字だけを見るとなんだかややこしそうですけど、とてもシンプルでダイアトニックコードの並びを表しているだけです。
今回はKey=Aですので、1645のコードは「A|F#m|D|E」となります。一度ギターを持って弾いてみて下さい。明るくてポップでドラマチックな雰囲気も兼ね備えた流れで絶対に聞いたことのあるコード進行だと思います。今回はこの1645で使える効果的なアドリブ方法を解説していきます。
このアドリブを身に付けると
応用が効く
「Stand by me」に代表される1645コード進行があまりにも有名で世界中に浸透しているため、このコード進行でアドリブが出来るようになると「ちょっとセッションでもしようか?」と、セッションがとてもとても身近になります。
その身近さはブルースセッションと近いものがあります。1645とはそのくらい誰でも弾けるコード進行なんです。(とてもシンプル!)
曲を引き立てる
「スケールを弾いても曲に合わない」「曲を引き立てるアドリブを弾きたい」というギタリストはとても多いですよね。曲を無視して弾きまくるソロは聞いていても残念です。やはり「ソロありき」ではなく「曲ありき」というのが重要なんです。
今回はコード進行に合わせたフレージングをするアドリブ方法なので、曲の雰囲気を壊すことなく自由に演奏できます。
メロディアスに弾ける
「スケール」というと縦に覚えて縦に移動しがちですが、メロディアスに弾くには横移動がとても効果的。その理由は自然と“スライド”が増えるからです。スライドが増えるとメロディがスムーズに繋がってとてもメロディアスになるんですね。
その効果を最大限発揮するために今回のスケールポジションは「横」に展開していきます。ここが一番のポイントです。
ペンタに強くなる
今回のアドリブ方法はペンタトニックスケールを中心に展開し、ブロック分けされたポジションに様々なテクニックを注入していきます。
そのブロックは3つあり、各コードに対して全く同じ形のなので1つ覚えると一気に3オクターブ幅でアドリブができてペンタにとても強くなります。さらにそこに2つの音を追加して最終的にはメジャースケールにも強くなります。
手グセからの脱却
「ペンタを横に使う」「コードに合わせて弾く」「メロディアスに弾く」という今回の3つのポイントをマスターすることで、マンネリした手グセフレーズから脱却することができます。
特に、メロディアスに弾くための一瞬の半音スライドやチョーキングを使ってのピッチコントロールなどの独特なテクニックは手グセ脱却にとても効果的です。
これが7つのレシピ
<レシピ1>
コードに合わせて弾く
(ペンタトニックスケール)
1645のコード進行に合わせてフレーズを展開する方法を解説します。コードトーンを意識したフレーズはアドリブのクオリティを決定付けるほど重要です。
コード展開に合わせることで、曲を引き立てるソロが弾け、バツグンの安定感を誇り、説得力のある長音符が使え、アドリブに大きな自信がつきます。
<レシピ2>
音を繋げてメロディアスに弾く
(ペンタトニックスケール)
横に展開したスケールをグッとメロディアスに弾く方法を解説します。歌のようなアドリブを弾くには1つ1つの音を丁寧につなげていくことが重要です。
音がバラバラなフレーズは“ベタ足感”が強くて機械的になりやすいので、音を繋げることで単純なフレーズをみるみるうちにメロディアスにしていきます。
<レシピ3>
チョーキングで歌わせる
(ペンタトニックスケール)
チョーキングを駆使してさらメロディアスに歌わせます。チョーキングは表現力がかなり高い奏法なので1645に入れた瞬間一気にドラマチックになります。
各コードを意識したチョーキングを基盤に、1音半チョーキングや様々なチョーキング方法を解説。熱いチョーキングは何度弾いても入り込んでしまいます。
<レシピ4>
半音スライドでエロく弾く
(ペンタトニックスケール)
ペンタトニックスケールに“エロくなる秘密のポジション”を追加して、スティービー・ワンダーやサックスプレイヤーのようなソウルフルな歌いまわしをする方法です。
このアドリブ方法は本当に強力でペンタがペンタじゃなくなるほどです。女性が香水を付けた瞬間に急に色っぽく感じてしまうような、そんな効果があります。メロディアスでエロい山脇流のアドリブ方法です。
<レシピ5>
ペンタに1音追加する
(ペンタトニックスケール+1)
ここからペンタに音を追加してメジャースケールに近づけていきます。たった1音の追加でも表現の幅はかなり広がります。
追加した音をメロディアスに弾くためのチョーキング+小指テクニック(音程コントロール方法)は秀逸で特にオススメ!レシピ1~4ですでにペンタの使い方ができているので、音が増えてもコード感のあるアドリブの安定感はバツグンです。(ここが重要!)
<レシピ6>
さらにペンタに1音追加する
(メジャースケール)
さらに1音追加して1645をお洒落に仕上げていきます。このコードで使うとお洒落、このコードで使うとブルージィ、と音を理解して弾くことでフレーズの雰囲気を自在に操れます。
さらにチョーキング+小指テクニックやレシピ4の半音スライドと組み合わせることでフレーズの表現力、メロディアスさが一気に上がります。※レシピ6で完全にメジャースケールになります
<レシピ7>
ミドルポジションで盛り上げる
(メジャースケール)
3つのブロックで展開してきたポジションに4つ目のブロックを追加します。このブロックはミドルポジションにあるのでメロディの幅をグッと広げ、チョーキングを炸裂させます。
フレーズ的にとても盛り上げやすいポジションにあるのでアドリブの起承転結を作るのに大いに役立ちます。もちろんコードに合わせて展開するので安定感もバツグンです!